当社の行う業務

5. 市販の就業規則をそのまま自社用とするときのリスクは

市販の書式集は確認程度に

 就業規則は、その記載方法にある程度のルールが法令上定められています。また、読みやすく書くための記載方法もおおむね決まっているため、これから就業規則を作成したり変更する予定のあるときは、基本的には市販の就業規則や書式集などを参考にするだけにとどめましょう。

 なぜなら、あくまで作成する就業規則は自社のものであり、市販の就業規則がそのまま使えるわけではありません。自社の仕事内容、勤務形態、労働時間、賃金や退職金など、市販の就業規則がそのまま使える会社はむしろ少ないはずです。そのまま使ってしまった場合、どんな不都合が考えられるのでしょうか。
図表5をみてください。

自社の実情にあった規則にするには

 市販の就業規則や書式集は、汎用性も高く必要事項が大体盛り込まれていますが、自社の業務内容に合致したものかどうか基本的な条項を確認する必要があります。

そのまま使えそうな市販の就業規則や書式集でも、自社用を作成する際に必ず変更しなければならない規定がいくつかあります。

図表5に示した規定は、事業所の数だけ異なっている部分の規定であるため、規定内容そのものの他、その条文の変更が他の条文に影響することがありますので、条文同士の整合性に注意して慎重に変更しましょう。

例えば、勤務形態や労働時間の変更は、必ず給与規定に影響してきますので、複数の勤務形態や労働時間性を設けるなら、その内容で勤務から賃金支払までをシュミレーションするぐらいの慎重さが必要です。

一般的な市販の就業規則は、労働法の考え方をそのまま条文化しており、会社の都合より社員の権利保護に重点が置かれていますので、経営者の裁量権が行使しにくいような印象があります。しかし、社員の処遇を含めて、経営者がすべての経営責任を負うという観点からすれば、かなりの表現や規定を変更しなければならないでしょう。

【図表5 市販規則で必ず変えなければならない事項】

項目 説明
規則を適用する社員 入社した社員であれば、アルバイト、パート、嘱託社員等であっても本規則がそのまま適用されますか。
何の記載もない場合、正社員と同様の待遇をしなければなりません。個別の条項ごとに適用を分けると読みにくくなるため、待遇が大きく異なる場合は、本規則を正社員にのみ適用し、パートや嘱託社員について別規定を作成すべきでしよう。
労働時間 正社員とパート、営業や現場工場と事務部門で就業時間や休日の設定は同じですか。
何の記載もない場合、全員が同じ時間帯で勤務することとなり、経営上の不都合となります。
給与 社員区分によって月給と時間給に分けるのでしょうか。
何の記載もなければ、パートも嘱託も正社員と同様の支給形態かつ同水準の支給を要求されます。
賞与 給与と同様、社員区分による対象者の区分があるのでしょうか。
賞与の支給は、全く支給しない、経営内容による、年2回支払うなど、会社の基準によって規定内容が違います。支給する旨の記載があれば、給与と同様に支給義務が発生するため経営上の理由による不支給ができなくなります。
退職金制度 退職金を支給する規則になっていますか、または、別途退職金規定が設けられていますか。
退職金制度のある市販の就業規則をそのまま利用すると、会社は給与と同様支給義務を負うことになります。必ず支払いができるだけの支払原資や積立制度の裏づけがないのであれば、そのままにすることは危険です。
服務規律制 制服やユニフォームの着用義務、二重就業の禁止、残業や異動命令に従うこと、PCや車両の私的利用の禁止など、すべきこととしてはならないことが列挙されていますか。
具体的に定めておかなければルール違反を問うことができないことがあります。仕事の指揮命令と社会人としてのルールを、事業主が社員に求める重要項目であり、会社のルールに違反した場合の根拠にもなります。

当職の就業規則本

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  • 著者: 木全 美千男, 成瀬 良二,
    鷲野 裕子, 杉田 貴信
  • 単行本: 295ページ
  • 出版社: セルバ出版
  • 発売日: 2008/8/29


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  • 著者: 安 紗弥香, 木全 美千男
  • 単行本: 264ページ
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  • 発売日: 2014/12/8

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