3. 就業規則の記載事項のルールは

最低限記載すべき事項は決められている

 就業規則は、労基法により記載すべき事項が定められています。図表1のとおり大きく3つに分かれています。

また、仕事の途中で私用を行ったり、仕事中に会社のパソコンを私的にネット利用したり株取引を行ってはならないことは、言わなければわからない人たちもいます。

【図表1 就業規則の記載事項】

就業規則の記載項目
  1. 必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)
  2. 会社に定めがあれば記載する事項(相対的必要記載事項)
  3. 任意記載した以上は守らなければならない事項(任意的記載事項)

 事業主が就業規則を見直し作成するにあたっては、労働関係法令の最低基準を下回るような規定は無効になるということと、作成した就業規則は社員に周知しなければならないことに留意して行う必要があります。

必ず記載しなければならない事項は

 労働時間、賃金、退職に関する項目は、就業規則の構成上、必ず記載しなければならない項目(絶対的必要記載事項)とされています。
社員にとって最も重要な事項のため、記載のないときは就業規則自体が無効となり、労基監督署でも届出が受付されないこともあります。

【図表2 絶対的必要記載事項】

絶対的必要記載事項
  1. 始業・終業時刻
  2. 休憩時間
  3. 休日
  4. 休暇
  5. 賃金
  6. 退職

相対的必要記載事項というのは

 絶対的必要記載事項以外で会社に規定がある場合には、就業規則に記載しなければなりません。就業規則に記載した事項は、
絶対的必要記載事項と変わることなく労使ともに守らなければなりません。

【図表3 相対的必要記載事項】

相対的必要記載事項
  1. 退職手当
  2. 臨時の賃金等
  3. その他の負担(食費や社宅費など)
  4. 安全及び衛生
  5. 職業訓練
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助
  7. 表彰及び制裁

会社の任意でできる記載事項というのは

  就業規則は、絶対的必要記載事項のほかに、法令に違反するものでない限り記載してはならないという事項は定められていません。会社の理念、相互扶助の精神、労使協調、社会貢献など、仕事への取組みや会社生活の心得のような事項ですが、会社によっては社訓や社員心得として規則とは別にしているところもあります。

 記載方法としては、「前文」として就業規則の最初に記載したり、「目的」として服務規定の中で条文化するなどがあります。また、就業規則の変更手続や改正履歴についても、本則だけでなく附則を設けておけば、より規則の内容が明確になります。

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